未経験で経理に転職したいけど、簿記以外に身に付けた方がいいスキルって何があるの?
気になるポイントだよね。有益なスキルがたくさんあるから解説するね!
転職前に身につける方法・準備する方法についても説明するよ!
未経験から経理職への転職を目指す方々は、
簿記の資格が必要なのは知ってるけど、それ以外にどんなスキルが求められるの?
という点に疑問を持ちますよね。
特に、事前に習得すべきスキルがあるのなら、転職活動の準備として、早めに取り組みたい方も多いと思います。
経理職は、実務経験が最も重視される職種の一つです。
しかし、未経験であっても、転職前や入社前に準備・習得しておくことで、転職活動が有利になり、入社後の業務もスムーズにできるスキルが多くあります。
そこで本記事では、
を解説します。
私自身も30代後半から40代にかけて、未経験で経理職への転職を成功させ、かつ、12年以上に渡り採用責任者も務めてきました。
本記事では、その経験に基づいて、他の情報では触れらる事が少ない内容も含め、できる限り詳しくご説明します。
なお、30代後半・40代以上でも、未経験で経理に転職できる包括的な戦略を下記にまとめていますので、併せてご参照ください。
若い年齢の方々でも、この戦略を身につけることで、若さに加えて、更に転職活動を有利に進めることができます。
Excel(エクセル)力
PCスキルの中でも、経理職において圧倒的に重要かつ必須とされるのが、Excelのスキルです。
私が経理担当者を採用した際も、Excelが得意であることを条件に挙げたことが、何度もあります。
「Googleスプレッドシート」も選択肢の一つではありますが、インターネットを経由するため処理速度が遅い場合があり、経理が扱う大量のデータ処理では、Excelが優位です。
Excelは経理でどんな使われ方をする?
経理業務において、Excelは、単なる表・グラフ作成ツールではなく、「データ処理」に使用される重要なツールです。
マネーフォワードとかfreeeのようなクラウド会計システムを使ってたら、Excelの処理とか不要なんじゃないの?
システムにデータをインポートするためのファイルを作成したり、システムから出力したデータをチェックしたりするのに、結局、Excelを使うことが多いんだ。
例えば、請求データが、会社独自のシステムで出力される場合、会計システム側のインポートファイル(仕訳データ)の様式に合わせて、請求データを変換する必要があります。
実際、私はIT系上場企業の経理部門にいましたが、こうした処理のために、Excelがフル活用されていました。
大規模システムが導入されている大企業であっても、Excelを併用している事が多いです。
大企業の経理部長さんには、スゴ腕のExcelマスターが多いよ!
Excelで重要なスキルとは?
実は、Excelを扱う上で、本質的かつ重要なスキルは、必ずしもマクロや高度な関数を扱うスキルではなく、
誰にでも引き継ぎ可能な、シンプルなデータ処理方法を設計する力
です。
具体的には、テーブルの持ち方や、単純な関数の組み合わせで、処理を行うスキルです。
高度なマクロや関数は、作成者が理解できても、他の人に引き継ぐのが難しくなるため、極力避ける事が望ましいです。
どうやってExcelスキルを習得すると良い?
大きく下記3つの方法が挙げられます。
- 日常の業務で、できる限りExcelを使って試行錯誤の機会を増やす
- Excelスキル習得の安価なオンライン講座を受講する
- マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)を取得する
①できる限りExcelを使って、試行錯誤の機会を増やす
前述のような設計力は、多くのExcel作業を、自分自身で試行錯誤しながら取り組むことで、自然と身についていきます。
そのためには、
日頃から数字を扱う仕事を、常にExcelで効率化できないか考え、データ処理する事を習慣づける
ことが有益です。
特に、他の社員と共有して使うことを前提としたファイルを作ると、データの入力方法や表示方法を分かりやすくする意識が高まるため、スキルアップが促進されます。
②Excelスキル習得の安価なオンライン講座を受講する
とはいえ、Excelに不慣れな方は、まずは基礎を体系的に学習することが必要です。
オンライン動画講座プラットフォームの「Udemy」では、数千円程度の金額で、内容の濃い、10時間以上もの長さの動画講座を受講できます。
Udemyは、私も様々な種類の講座を受講しており、大変業務に役立っています。
割引キャンペーンが頻繁に開催されており、安い時期を狙えば、2,000円程度の本1冊ぐらいの金額で、分かりやすい講座を山ほど受講できるので、コスパが良く、非常にお勧めです。
③マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)を取得する
基礎を理解できたら、Microsoftの公式資格である「マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)」の
などを取得して、スキルをカタチにすることもオススメです。
MOSは、転職活動の際にも、一定のスキルを保有していることの証明になりますし、何より、試験に合格しようとすることで、スキルの定着度が格段に上がります。
試験対策としては、公式テキストとして出版されている下記書籍が、オススメです。
富士通ラーニングメディア (著) FOM出版
公式テキストなので、出題範囲との整合性も高く、無駄なく安心して学習を進められますよ。
情報収集力
経理業務では、常に関連する法令動向のキャッチアップが求められます。
たとえば、以下のように、ウォッチすべき項目が多くあります。
上場企業であれば、監査法人から定期的な監査を受けるため、法改正対応を見逃すことは少ないかもしれません。
しかし、非上場企業では、積極的に顧問税理士に相談しない限り、第三者から指摘を受ける機会がなく、気づかずに誤った会計処理を続けてしまうリスクがあります。
法改正で要注意のポイント
地味に厄介なポイントは、
です。
例えば、健康保険や雇用保険の料率を変更する法改正に気づかず、社員給与からの控除額を誤ったままにしていたとします。
すると、源泉所得税は、社会保険料控除後の所得に対して計算されるため、源泉所得税の控除額も間違ってしまいます。
しかし、税理士の先生は、税金のスペシャリストですが、社会保険は基本的に範疇外(社労士先生の領域)なので、この点を指摘してもらう事ができません。
その結果、誤った金額で源泉所得税を納付し続けてしまう、という事が起こり得るのです。
そのため、経理担当者が、日頃から会計・税務・社会保険の領域について横断的に、ネットや書籍を活用して、情報収集する必要があります。
役立つ法改正情報の収集先
以下に、私が日頃から、とてもお世話になっている情報収集先を紹介します。
上記WebサイトやYouTubeチャンネルは、前述した社会保険関連の改正情報も扱っているため、カバー範囲が広く、有り難い情報源です。
「Manegy」は、バックオフィスの求人に強い特化型転職エージェントである「MS-Japan」が運営している情報サイトです。
MS-Japanに登録すると、「Manegy」のログインアカウントも発行されるので、会員専用の情報を閲覧できるようになります。転職先の紹介に加え、情報提供も受けられるので、とても有益です。
是非、ご自身でも探索して、入社前までに、分かりやすい情報収集先を見つけておく事をお勧めします。
会計システムの操作スキル
経理の実務未経験の方は、一番ハードルが高く感じる点かもしれません。
実際には、数ヶ月も操作すればマスターできますが、全く使ったことがない段階では、不安に感じるのものです。
自分も最初はそうでした。特に、クラウド会計は、複数人で同じデータを更新するので、「間違って消しちゃったらどうしよう、、、」と心配でした(汗)
会計システムの種類
大企業では、EPRと呼ばれる、専用にカスタマイズされた大規模システムを使うことも多いですが、中小企業では、汎用パッケージの会計システムを使用するのが一般的です。
未経験の方は、ひとまず汎用パッケージの会計システムについて、具体的なイメージが持てれば十分です。
汎用パッケージの会計システムには、大きく分けてインストール型とクラウド型があります。
様々な商品がありますが、それぞれ代表的なものは、以下のとおりです。
クラウド型が主流と思われがちですが、実はインストール型もまだ根強い人気があります。
無料お試し期間や体験版を活用する
会計システムには、体験版や無料トライアル期間が用意されています。
個人でも利用できるので、是非活用して、実際に操作してみる事をお勧めします。
但し、使用するには、簿記を理解している必要があるので、最低でも簿記3級、可能であれば簿記2級を取得した後が望ましいです。
インストール型とクラウド型は、操作性が大きく異なるため、可能であれば、両方を試してみると良いでしょう。
両方のタイプを知っておけば、ほとんどの会計システムを勘で操作できるようになります。
私自身、実務で両方を経験できたので、今ではどんなシステムでも、操作する際の恐怖心は無くなりました。
各社の体験版や無料トライアルの登録は、下記から可能です。
選択に迷う場合は、インストール型は「弥生会計」、クラウド型は「マネーフォワードクラウド会計」が機能や操作性を比較しやすいので、オススメです。
少しでも会計システムに触った経験があれば、転職後の実務においても、自信を持って、スムーズに対応できますよ。
Webサービスの管理画面の操作スキル
経理スキルとして語られることが少ないですが、実は非常に重要なのが、
Webサービスの管理画面に慣れること
です。
特にIT企業では、
など、海外のWebサービスを利用することが多く、経理担当者は、これらの管理画面にアクセスして、請求書や領収書の情報を経理証憑(会計処理の根拠とする資料)として取得する必要があります。
初めてだと、書類がどこからダウンロードできるか分かりづらく、表記も英語なので、意外に時間を取られます。。。
但し、どのサービスも、画面仕様や操作フローが類似しているので、2〜3つ程度のサービスに慣れれば、新しいWebサービスが出てきても、直感的に操作できます。
そのため、以下のような方法で、事前に請求書や領収書のダウンロード方法を調べ、慣れておくのがお勧めです。
- 自分が個人で契約しているサブスクサービスがあれば、その請求書や領収書のダウンロード方法を確認しておく
- どんなサービスでも、個人事業に利用されるケースがあるので、必ず請求書や領収書はダウンロードできる仕様になっています。
- 転職先が決まったら、その企業がどんなWebサービスを使っているか事前に聞いておき、その管理画面の仕様を調べておく
- 「サービス名 請求書 ダウンロード方法」などでネット検索すれば、ヘルプページなどの情報が出てくるので、自分が使っていないサービスでも、方法を確認できます。
- 「画像検索」で調べるとイメージしやすいので、オススメです。
地味ではありますが、このような予習をしておくことで、
未経験だけど、仕事が早い人だな
と思ってもらえ、入社後の業務遂行もスムーズになりますよ。
生成AI活用スキル
経理業務が、簡単にAIに置き換わることはありませんが、逆に経理担当者には、積極的に生成AIを活用し、業務効率を高める姿勢が求められます。
今後、生成AIの活用スキルは必須になり、これが他の経理担当者との差別化にもつながります。
まだ利用したことがない方は、最もメジャーな生成AIである「Chat-GPT」の無料版で構いませんので、ぜひ積極的に日々の生活で使ってみましょう。
生成AIは、Excelのデータ処理において、補助役として非常に有効です。
たとえば、「大量のデータを、一定のルールに沿って、並べ替えて整理する」といった作業も、自分で関数を組まずに、短時間で完了できます。
但し、生成AIに入力した情報は、AI側の学習に利用される可能性があり、他のユーザーに表示されるリスクもあります。
そのため、機密情報や個人情報を含むデータは入力しないよう、留意しましょう。
AIによる経理業務への影響と、具体的な活用方法は、下記記事で詳細を解説していますので、是非ご参考にしてください。
SaaS系クラウドサービスの導入・選定スキル
SaaSとは「Software as a Service」の略で、クラウド上にデータがあり、Webブラウザ上で操作できるソフトウェアを指します。
クラウド型会計システムも一つのSaaSですが、経理業務では、下記のように様々なSaaSを使用します。
事業規模が大きくなるにつれて、
といった目的で、経理担当者が主導して、システムの選定や導入を進めるケースが増えてきます。
既存の業務フローを、導入するシステムに合わせて、再設計する役割も求められます。
私自身も、過去に様々なSaaSの導入プロジェクトを推進してきました。
こうした業務は、むしろ経理以外の職種(特に事業系部門の職種)の方が、高頻度で発生するので、経理経験者よりも、高いパフォーマンスを発揮できるチャンスになります。
そのため、転職前の段階から、以下の点を意識して、取り組むことが有益です。
マニュアル作成能力
経理業務は、意外と属人化しやすいため、マニュアル作成能力は非常に重要です。
特に企業の規模が大きくなったり、部下への引き継ぎが必要になったりすると、この能力が大きな効果を発揮します。
部門内に、日頃からマニュアル作成に慣れている人がいると、経理部門の組織力向上にも寄与します。
未経験者にとっては、自分のためにもなります!
自分も初めて経理を担当した時は、マニュアルを作りながら覚えて、1年間は作ったマニュアルを頼りにしていました。
マニュアル作成に使えるツールには、以下のようなものがあります。
- ドキュメント系
- Googleドキュメント
- Googleスプレッドシート
- 社内Wiki系
- Notion
- Googleサイト
- SaaS系
クラウド上で、最新の情報をリアルタイムで共有し、チーム全体が同じ情報を基に業務を遂行できれば、問題ありません。
まずは、「Googleドキュメント」や「Googleスプレッドシート」が使えれば十分です。
さらに高度なマニュアルを作成するには、「Notion」や「Googleサイト」を利用するのも良いでしょう。
「Notion」や「Googleサイト」は、無料の範囲でも利用可能なので、個人でアカウントを作成し、慣れておくことをお勧めします。
転職エージェントからも情報収集する
管理部門や経理に特化した転職エージェントは、応募先企業の内情を詳しく把握しています。
そのため、特化型エージェントに登録することで、募集要項には現れてこない、企業ごとの業務実態に即した必要スキルを教えてもらえる場合があります。
求められるスキルを把握し、習得した上で応募すれば、面接時に、
「〜のスキルを習得しました(習得中です)」
と伝えることができ、採用担当者に対し、その企業の実務に即したスキルをアピールできます。
以下は、管理部門や経理職に特化し、高い実績を誇る転職エージェントです。
転職エージェントは、登録するだけでなく、その担当者から、
目的を持って、情報やアドバイスを引き出す
ことが重要です。
是非、有益な情報を持つ転職エージェントに登録し、選考に役立つ情報を能動的に収集することで、他の候補者よりも一歩リードしましょう!
未経験からの経理転職で簿記以外に必要なスキルは何? -まとめ-
本記事では、簿記以外にも役立つスキルは多くあり、転職前や入社前でも準備が可能であることを解説しました。
これらを身につけておく事で、未経験からでも経理職にスムーズに移行できるだけでなく、企業内での価値を高めることもできます。
特に、Excelのスキルを筆頭に、Webサービスの管理画面操作、生成AIの活用、SaaS導入の経験等は、大いに役立ちます。
また、情報収集力やマニュアル作成能力も、日々の業務効率を高め、組織全体のパフォーマンスの向上に寄与する重要スキルです。
さらに、転職エージェントを活用し、応募先企業が真に求めるスキルを把握しておくことで、より具体的で、他の候補者とも差別化した準備が可能になります。
本記事が、皆さんのご参考になれば幸いです。
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