経理ってお金が絡むから絶対ミスできない仕事だよね。
もしとんでもないミスをしちゃったら、即クビになっちゃうのかな。。。
経理未経験だと心配になるポイントだよね。キチンとやることをやっていれば大丈夫!
安心してもらえるように、経理現場の実態とミス防止策を超具体的に解説するよ!
未経験で経理への転職を考えている方の中には、以下のような不安を抱えている方も、多いのではないでしょうか。
- 経理ってお金が絡むから、絶対ミスできない仕事だよね…
- 慣れないうちはミスばかりしそうで心配…
私もかつて、アラフォー・未経験で、経理職に転職しました。
最初は不安だらけでしたが、結果として、大きなミスも小さなミスも、ほとんどなく業務をこなすことができました。
もちろん、全くミスしなかったわけではありません。ミスの発生自体はありましたが、他の人や外部に報告する前に自分で気づき、修正できることがほとんどでした。
その理由の一つは、経理未経験だったからこそ、緊張して慎重に業務に取り組めていた、という点があります。
さらに、経理に限らず、他の職種での経験が役立った面もあります。
経理職に就く前は、クライアントと直接向き合う仕事だったため、ミスがあればすぐにクレームに繋がる環境でした。
そのため、日常的にミスに対する感覚が研ぎ澄まされ、経理に転職した際にも、その意識を持ち込むことができたのです。
今回の記事では、そんな私の経験をもとに、経理の現場で起きうるミスの実態と、その具体的な対策について、一歩踏み込んで解説します。
単なる抽象的なアドバイスにとどまらず、他ではあまり触れられていない「超」具体的なミス防止策をお伝えします。
この記事を読むことで、経理職への転職を考えている皆さんが不安を払拭し、自信を持って転職活動をして頂ければと思いますので、ぜひご参考にしてください。
なお、30代後半・40代以上でも、未経験で経理に転職できる包括的な戦略を下記にまとめていますので、併せてご参照ください。
若い年齢の方々でも、この戦略を身につけることで、若さに加えて、更に転職活動を有利に進めることができます。
経理のとんでもないミスのパターンと影響
- 原因は結局ケアレスミスが多い
- 「あるある」の経理ミス事例
- ミスしたらどうすべきか
- 責任をとらされてクビになる?損害賠償請求される?
原因は結局ケアレスミスが多い
経理の場合、結局のところ、間違えた金額の規模が大きかった場合に、「とんでもないミスが発生した!」と認識されることになります。
逆に、ミスした金額規模が小さい場合は、取引先や自社の資金繰りに対する影響も限定的で、会計処理上も「重要性の原則」に従い、そこまで大きな問題にはなりません。
証憑(会計処理をする際の根拠資料)を紛失しても、代替の資料を用意することで、処理は進められます。
そのため、ミスの発生原因自体は、「とんでもないミス」も、「そうでないミス」も、ほぼ同じケアレスミスになります。
逆に言うと、大した事ないミス(=金額規模が小さいミス)をしたときに、キチンと対策をしておかないと、次やったときは、「とんでもないミス」に繋がる場合もあるということです。
そのため、日頃からどんな小さいミスでも減らす必要があります。
「あるある」の経理ミス事例
前述の通り、「とんでもないミス」と「そうでないミス」は、金額規模の違いに過ぎず、本質的には同じミスです。
ここでは、経理業務でよく発生するミスのパターンをご紹介します。なお、あくまで「ミス」なので、知識不足による誤りは除外しています。
経理におけるミスの主な原因は、次の3つに分類されます。
これらの原因により、以下のような問題になり得ます。
また、これは厳密にはミスではないですが、取引先からの情報に間違いがあるのに気づかず、そのまま支払いや記帳を行ってしまうケースもあります。
経理担当者が直接的に悪くなくても、経理は企業の「最後の砦」としての役割を担っています。
そのため、相手側のミスを見逃してしまうと、それも結果的に「ミス」となり得る点も意識する必要があります。
ミスしたらどうすべきか
経理でミスをしてしまった場合、できることは、以下の2点に集約されます。
- できる限り早く上司に伝えること
- ミスに気づいたら、できるだけ早く上司に報告することが重要です。
- 隠そうとしたり、報告を遅らせたりすると、状況がさらに悪化する恐れがあります。
- リカバリー策を自分で考え、提案すること
- 報告に加えて、ミスをどうリカバリーするか、を自分で考えて提案することも大切です。
- 単に報告するだけでなく、解決策を提示することで、責任感を持っていることが伝わり、上司の信頼を得ることができます。上司からOKをもらったら、最速で対応を実行します。
「怒られるのではないか」、「評価が悪くなるのではないか」と心配になるかもしれませんが、ミスを放置したり、他人に責任を押し付けたりすると、事態が悪化して、一層評価を下げる恐れがあります。
加えて、同じミスが再発しないよう、対策を講じることも重要です。
真摯に自身のミスを認めた上で、業務フローの改善や新しいチェック体制の導入などを提案し、自ら改革を進めることで、むしろ評価を上げることも可能です。
後述するとおり、そもそも「とんでもないミス」が生じるのは、必ずしも経理担当者だけの責任ではありません。
そのため、ミスを個人の問題と捉えず、会社としてどうすればミスが起きにくい体制を作れるかを考えることが重要です。
責任をとらされてクビになる?損害賠償請求される?
結論から言うと、経理で、とんでもないミスをしてしまったからといって、即座にクビになったり、損害賠償を求められることは、まずありません。
前述の通り、「とんでもないミス」というのは、金額規模の大きい間違いを指します。仮に、そのようなミスが発生した場合、以下のような影響が考えられます。
- 会計上の利益が大きく変わってしまう
利益の過少申告などが発生した場合、税務上の所得も間違ってしまい、結果として多額の追加納税が必要になる可能性があります。 - 取引先へ過剰に支払ってしまう
多額の過剰支払いが発生すると、自社の資金繰りが悪化し、取引先に返金を依頼しなければならない場合があります。 - 上場企業の場合、開示資料を誤って提出してしまう
開示資料(有価証券報告書など)を誤って公開した場合、適時開示資料の訂正が必要になり、企業にとって大きな労力を要することになります。
しかし、これらのケースにおいて、経理担当者のミスが、そのまま何のチェックもなく実行されることは、ほとんどありません。
なぜなら、会計処理は通常、経理部門の上長や顧問税理士、上場企業であれば監査法人によるチェックを経て完了するからです。
また、開示資料に関しても、必ず監査法人が確認を行います。
さらに、取引先への支払いに関しても、通常は申請者と承認者の二重チェックが設けられます。
つまり、通常であれば「とんでもないミス」が発生するリスクは低く、仮にそれが現実になってしまった場合は、経理担当者だけでなく、社内の業務フロー全体に問題があると考えられます。
内部統制(不正防止)の観点からも、経理業務では、必ず申請者と承認者の2名体制を置く事が基本となっており、これは中小企業でも同様に求められます。
実際、スタートアップ規模で経理をしていた時でも、支払い業務は、申請者と承認者の2名体制が徹底されていたよ。
もちろん、だからといって、経理担当者がミスを軽視してよいわけではありません。
たとえ、チェック体制により未然に防がれたとしても、上司や取引先に「とんでもないミス」を含んだ内容を頻繁に報告すると、経理担当者としての評価は著しく下がってしまいます。
そのため、やはり経理担当者として、ミス防止策を講じることは必須です。
経理のとんでもないミスを防ぐには、どうすればいいか
- ケアレスミスをなくすために持つべき心構え 2つ
- 超具体的なケアレスミスを防ぐ対策事例 7つ
- 自信を持って経理を目指しましょう!
ケアレスミスをなくすために持つべき心構え 2つ
経理業務においてケアレスミスを防ぐためには、まずマインド面として、以下の2点を意識しておくことが重要です。
日頃から「1円でも合わせる」という意識を持つ
前述の通り、経理業務におけるミスの大半は、ケアレスミスによるもので、金額が大きいか小さいかの違いしかありません。
つまり、小さな金額のミスを過小評価していると、同じミスを繰り返し、そのうち、大きな金額のズレ=「とんでもないミス」を生じさせる可能性があります。
そのため、小さなズレであっても見逃さず、本来一致すべき金額が、1円でもズレていたら、必ずその原因を確認し、修正する意識を持つことが重要です。
この「1円でも合わせる」という意識が、日常的なケアレスミスを防ぐための第一歩となります。
常にミスが生じにくい業務フローへと改善する意識を持つ
前述のとおり、「とんでもないミス」が発生した場合、その責任は個人だけにあるわけではありません。
多くの場合、社内の業務フロー自体に問題があり、個人では防ぎきれない状況があるのです。
例えば、以下のようなケースが挙げられます。
このような状況においては、経理担当者自身が、社内外の人たちを巻き込んで、業務フローの改善を提案・主導する必要があります。
具体的な改善策としては、部門間の情報の流れを見直す、業務の電子化を進める、クラウドサービスの導入を検討するなどが挙げられます。
これにより、ミスが生じにくい環境を整え、経理業務の効率化とミス防止を図ることができます。
超具体的なミスを防ぐ対策事例 7つ
経理におけるミス防止の対策は、以下の2つに分けられます。
- 経理担当者が個人でできる対策
- 周囲を巻き込んだ業務フローの改善
後者については、各会社の課題に応じた対策が必要となるため、本記事では、経理担当者が個人の範疇でできる、非常に具体的で、現場感のあるミス防止策を、7つご紹介します。
①入力はできだけコピーペーストを用い、テンキーでの手入力は避ける
「コピペ間違いってよく聞くから、手入力の方が正確じゃないの?」
と思う方も、いらっしゃるかもしれません。
しかし、私が長年、経理業務を担当し、部下の方々の業務も監督してきた経験から言えることは、
結局、手入力によるミスが一番多い
ということです。
例えば、「96」と入力すべきところを「69」と間違えたり、「000」と入力すべきところを「00」としてしまうミスは、手入力では頻繁に発生します。
最近では、請求書や領収書が、PDFで届くことが多いので、コピーペーストを使えば、こうしたミスはほぼ発生しません。
これに対し、手入力に頼ると、いったん目で見て数字を覚え、テンキーで打ち込む、という過程で、ミスが生じやすいです。
もちろん、入力後にチェックすることは大前提ですが、ミスに気付けないこともある上、手入力でミスが多発すると、その都度、訂正作業が増え、自分の作業に自信を持てなくなることもあります。
そのため、できる限り間違った入力そのものを減らすことが重要です。
プロセスを比較すると、以下のような違いがあります。
手入力の流れ
- 資料内の数字を目で確認
- 数字を記憶
- 入力箇所にテンキーで入力 ※桁数分だけキーを叩く必要あり
コピーペーストの流れ
- 資料内の数字を目で確認
- 数字を選択(コピー)
- 入力箇所へ貼り付け(ペースト) ※桁数によらず1アクションのみ
手入力では、②の「記憶する」段階でミスが起きやすく(例:96を69と記憶する)、さらに③で桁数分入力するため、桁数が大きいほど打ち間違いのリスクが増加します。
一方、コピーペーストでは、選択範囲のミス以外に間違える箇所は少なく、安全に入力できます。
これは、あまり語られない内容ですが、非常に有効なミス防止策の一つです。これから経理職を目指す方は、ぜひ実践してみてください。
②Excelで、sumなどの選択範囲に漏れが発生していないか確認する
Excelで行や列を挿入する際に、sum関数などの集計範囲がきちんと拡張されているか、確認することが重要です。
テーブル機能を使って自動的に範囲を調整したり、あらかじめ余分に範囲を設定しておくことも一つの方法ですが、他人が作成したシートを使う場合などでは、そういった修正ができない場合もあります。
また、関数が入ったセルをコピーする際にも注意が必要です。
絶対参照や相対参照が正しく設定されていれば良いですが、コピーによって参照範囲が意図せず、ズレてしまうケースも多く見られます。これも経理業務で「あるある」のミスの一つです。
「そんなの当然でしょ」と思われるかもしれませんが、時間に追われて焦っていると、案外、このような基本的なチェックを忘れ、ミスに繋がる場面を多く見てきました。
どんな時も「チェックしないと気持ち悪い」と感じるくらい、確認を徹底する習慣を身につけることが、ミスを防ぐためのポイントです。
③Excelで、常にチェック用セルを設ける
例えば、以下のような2パターンの表があったとします(例示のため、非常に簡略化した表にしています)。
上の表【例1】では、一番右の列の下半期合計が、左側にある各月の金額の合計で計算されています。
このとき、下半期合計の列の営業利益は、縦方向で計算しても、本来同じ金額になるはずです。
そのため、縦方向で計算した結果も、下の方に表示しておき、2つの結果が一致していれば◯、違っていれば✗を表示するセルを設けることで、チェックを自動化します。
下の表【例2】では、売上から売上原価合計を引いて、売上総利益を出している表です。
このとき、売上から個々の売上原価項目を引いても、売上総利益は一致するはずなので、その計算結果も下の方に表示しておき、同じく◯✗で相違判定をするセルを設けて、自動チェックします。
上記2つとも、✗になれば、どこかの計算がおかしいと気づけます。
つまるところ、Excelで計算する際は、常に複数の方法で計算した結果が一致するか、チェックするクセをつけるのがポイントです。
【体験談】私自身、様々な人が作ったExcelファイルを扱ってきましたが、ファイル内に、上記のようなチェック用のセルを設けている人は、圧倒的に作業の精度が高かったです。
④鷹の目で、毎月の記帳結果(損益計算書、貸借対照表)をチェックする
下記内容は、これから経理を目指す方にとっては、やや専門的な内容かもしれませんが、知っておくと後で役立つため、雰囲気だけでも掴んで頂ければと思います。
経理業務では、個々の仕訳入力に間違いがないか、都度チェックすることが重要ですが、どれだけ慎重に進めても、気づかずに間違ってしまう事はあります。
そこで、ひととおり入力を終えたら、会社全体の数値を「鷹の目」の視点で、俯瞰的にチェックすることが重要です。
具体的には、以下のような方法で確認します。
これらのチェック項目は、経理の基本ではあるのですが、忙しい時期になると省略されがちになり、結果としてミスにつながる場面を見てきました。
最近では、AIを活用して自動チェックを行うこともできるため、そうしたツールの導入を検討するのも有効な手段です。
常に、大局的な視点で会社全体の数値を確認し、異常がないかをチェックする習慣を身につけることで、正確な業務遂行が可能になります。
⑤証憑類の訂正版が届いたら、最優先で差し替えを完了させる
よくあるミスの一つに、証憑(会計処理をする上で根拠とする資料)の差し替えに起因するものがあります。
例えば、取引先や営業担当から「請求書に間違いがあったので差し替えてほしい」と依頼される事がありますが、対応を忘れると、二重支払いなどの原因になってしまいます。
そのため、証憑の訂正依頼を受けた場合は、素早く訂正版に差し替えることが重要です。
しかし、忙しい時期には対応が後回しになり、つい忘れてしまうこともあるでしょう。こうしたミスを防ぐためには、以下のような対策をオススメします。
⑥チェックした印をつける
非常に地味ではありますが、仕訳の入力結果などを紙に出力してチェックする際、チェックした箇所に必ず印をつけることが重要です。
これは、紙に印刷した場合だけでなく、電子ベースで作業する際にも有効です。
【体験談】私は、これまで上司として、部下の方々が作成した多くの資料をチェックしてきましたが、チェックマークをきちんと「つけている人」と「そうでない人」では、チェック漏れの発生率に大きな違いがありました。
小さなことのように思えるかもしれませんが、チェックした箇所に印をつけることで、確認漏れや見落としを防ぐことができます。
最近では在宅勤務が増え、すべての作業を電子ベースで行うことも多いかと思います。
PDFで資料を確認する際には、マーカー機能を活用して、チェックした箇所を視覚的に明示することが可能です。
無料版のPDFリーダーでもマーカー機能を使える場合が多いため、チェック済みの箇所をしっかりマークし、確認の有無が分かるようにしておくとよいでしょう。
⑦自分でチェックリストを作り、都度更新していく
チェックリストを作成し、日々の業務で更新していくことは、ミスを防ぐために非常に有効です。
業務でヒヤリとしたことや、実際に発生したミスなどの防止策を、自分なりのチェックリストとして記録することで、次回以降、機械的に確認できるようになり、チェック漏れを防げます。
また、チェックリストは業務の引き継ぎ時にも役立つツールです。
新しい担当者や部下に業務を引き継ぐ際、このリストを基に説明を行えば、効率的に作業内容を伝えることができます。
チェックリストは、NotionやGoogleサイトのような、クラウド上で社内共有できるWikiツールで作成しておくと、共有がしやすく、便利です。
いかがでしょうか?
実は、上記④以外は、経理以外の職種でも、十分当てはまることだと、感じて頂けたのではないでしょうか。
むしろ、
「とっくにこんな事やっているよ」
と思われたかもしれません。
そうなんです、むしろ顧客フロントや、サービス開発の現場に立ち、「間違ったら失注するかも」とか「間違ったら障害でサービス止まるかも」といった、大きなプレッシャーに日々さらされている人の方が、むしろ気をつけていたりする事なのです。
そのため、現状の職務において、ミスを減らすよう一生懸命、努力されている方は、経理になっても恐らく、ほとんどミスはしないのではないかと思います。
自信を持って経理を目指しましょう!
前述の通り、経理業務においては、緊張感を持ってミスを防ぐ意識が重要です。
また、経理以外の現場、特に、顧客対応を経験したことのある方は、自然とミスに対して敏感になっているため、経理の仕事でも同じ慎重さが求められる場面で役立ちます。
ですから、これまでの経験に自信を持って、堂々と経理職を目指しましょう!経理未経験でも、その経験をしっかり活かせる場面が多々あります。
また、転職活動を進める際には、転職エージェントの活用が非常に有効です。
経理職に特化したエージェントも多くありますので、上手に利用することでスムーズにキャリアチェンジが可能です。
以下におすすめの転職エージェントを掲載しておきますので、ぜひ登録して念願のキャリアを手に入れてください!
経理でとんでもないミスをしたらどうなるか?ついて総括
本記事のポイントを以下にまとめます。
本記事が、皆さんの転職活動のご参考になれば幸いです。
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